背景画のお手本になるもの [日本帝國鐵道 常越本線]
中学2年生の時の美術の時間に、模写を習うことがありました。模写する絵画については、美術室に置かれた西洋・東洋美術の画集の中から自由に選ぶことができました。当時の自分は、世界的に有名な画家達の名前をほとんど知らず、画集をぱらぱらと捲りながら、多くの絵の中から、一枚の絵を模写の対象として選ぶことにしました。
その絵は、19世紀のフランスの画家、コロ―という人の描いた「マントの橋」という絵でした。コローの絵を選んだのは、描かれた多くの絵の色調を見てすぐに好きになったこと、更にマントの橋を選んだのは水面に反射する橋が綺麗に思えたことが理由だったと記憶しています。
その後、10年程経過し、大学院を修了する直前の卒業旅行の折、学生割引のユーレイルパスを使ってロンドンからナポリまで鉄道旅行をした際、パリのルーブル美術館に立ち寄り、その時、たまたま本物の「マントの橋」を見ることができ、大変感動した覚えがあります。
水彩で模写した「マントの橋」
中学生の当時、初めて模写した絵は、それ以降の引越しの度に他の荷物と一緒に段ボールの中へ重ねられて移動した為、大分ボロボロになってしまいましたが、今改めて眺めてみると、元の絵に碁盤の目を引き、構図や色彩、筆遣い等を丹念に観察することを含む模写という作業は、自然の風景を人工のレイアウトの背景に当てはめるという背景画の制作作業において、参考にするべき要素が多いにあると感じました。
更に時間を遡り、自分が小学生だった頃、たまたま図書館で見つけた童謡の歌集の挿絵に引き込まれてしまい、その本を飽きずに何回も借りてきた事がありました。また、アニメーション映画である「となりのトトロ」を見て、主人公たちが動き回る背後に描かれた緻密で繊細な日本の風景にも、引き込まれてしまい、何回も見た記憶があります。
その後、童謡の歌集の挿絵を描かれていたのは原田泰二さんという著名な画家であること、また、「となりのトトロ」の背景画を描かれたのは、宮崎駿監督のアニメーション作品において、美術や背景を担当してこられた男鹿和雄さんという画家であることが判ったのですが、
自分が少年時代を過ごした昭和50年代、1980年代頃の風景を再現しようと試みて製作したレイアウト「日本帝國鐵道常越本線」の背景画を制作するに当たって、多くの画家の方々の風景画を見ることとともに、自分の感性にぴたりと当てはまるような絵を見ることがあったら、その絵の構図や色彩を良く観察することが必要なのではないかと思いました。
常越本線レイアウト 左側造形 (背景画無し)
そのような事を、30歳台半ばになって、ふと思い出したのは、最近放映されているテレビアニメーションの影響が強くあるのですが、その話題は、後日紹介させていただきます。
・・・しかし、背景画の制作は、レイアウト製作と同様、大変奥が深い趣味であるような気がしてきました。構想がなかなか纏まらず、なかなか着手できません・・・。今しばらくは、構想の発散と収束を繰り返しながら、鎌倉帝都電鐵線の製作も行っていきたいと思います。
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