レイアウト上の空気の厚みの表現について [日本帝國鐡道 製造局]
週末、子供を連れてヨコハマ鉄道模型フェスタに出掛けてきました。展示されている鉄道模型のレイアウトは昨年とほぼ同じでしたが、新製品の展示や紹介があり、会場は沢山の親子連れや鉄模成分豊富な方々等の来場者でごった返していました。
ところで、会場からの帰途、よく利用する模型店で過去の鉄道模型趣味(以下、TMS)を購入してきました。
購入したTMSは、自分が小学生の頃、従兄から譲り受け、よく読んでいた(当時の自分にとっては、写真や図を眺めていただけなのですが)ものの、その後散逸してしまい、自分の手元には残されてはいない書籍です。しかし、記憶の片隅には、読んだことがある(眺めたことがある)とはっきり覚えている写真や図が残っており、それを手掛かりに購入することが多々あります。
今回購入したTMSは1981年5月(401号)と7月(403号)です。本誌の中には、創刊35周年401号を祝う海外の鉄道模型誌からの祝いの言葉や、終戦直後の創刊以来の鉄道模型趣味の読者の方の話が掲載されており、興味深く読むことができる内容でした。
一方、レイアウトの製作記としては、川越鐵道を製作され、毎年国際鉄道模型コンベンションにも出展されている方が、別のレイアウト(モジュール)を製作された時の記事が掲載されていました。その中で、自分にとっては初めて目にする非常に印象に残る文章が書かれていました。
- Nゲージのレイアウトを1m離れた場所から見るということは、実物では150m離れたところから風景を見るということ。
- 実物の150mの距離の間には、水蒸気や塵等が介在し、物体そのものの色は霞かかって見えるということ。
- その「空気の厚み」による色彩をどのようにレイアウト上に表現するかが大事であるということ。
以上のような趣旨でした。
この記事を読んだ上で、自ら製作した常越本線の製作過程を省みた時、レイアウト上の色彩に対して特に気を配り表現しようと試みたことを思い出します。例えば、市販されている建築物やバラスト、川や岩、草木用のフォーリッジクラスタの色を、実物の色彩に近付け風景や雰囲気に馴染むように、サンプルの製作や実験を通じて、色彩の再現に注力していました。
しかし、今回購入したTMSの記事を読んで気づかされたのは、模型上の1mは実物では150mであることを当たり前のように理解しつつも、レイアウトを眺める自分の目と、製作するレイアウト上の物体の間には、実物の150倍もの密度の「空気」が介在しするため、その空気の厚さの存在が大きな要因となり、レイアウトに置かれた物体そのものの色には、空気の厚みを考慮した色彩を添加する必要がある、ということでした。
1/150のレイアウト上の色彩を表現する上では、これは常識的な基礎知識であるのかもしれませんが、自分にとっては「眼から鱗」の指摘でした。
ちなみに、記事の中では、色彩を表現するにあたり、空気中の微粒子と光の吸収、減衰を考慮して、グレー系の色を色彩に添加するという旨の話が書かれていました。
自分がレイアウト上の色彩を表現する過程で、実験を繰り返していると、気がつけば何時の間にか灰色系統の色を含む鈍い色の塗料の入ったビンばかりが増えていったことが思い出されます。結果的には、レイアウト上に色彩に灰色系統が溶け込んだ色を多用したことは、色彩表現上、決して間違った選択ではなかったのだと思いました。
そのため、現在設計検討中の新規レイアウト上の色彩設定においても、現状保管している色や実績に基づき表現していくことを、方針として定めようと思いました。
生業とする仕事の中でも、パソコンやワープロが普及する前に書かれた昔の資料に時折目を通す機会があるのですが、その度に、資料が書かれた当時の背景や、書かれた方の先見の明や、現状の仕事と置かれた状況の類似点に驚かされることがあります。
そのようなことをふと思うと、鉄道模型の製作記の存在は、日本の鉄道模型の技術レベルの向上に大きく資するものだと(これも当たり前のことかもしれませんが)思いました。インターネットの普及により、ブログやホームページを通じて、製作に関する情報が簡単に入手できるようになった現在では、なおさらのことだと思います。
・・・しかし、そう思いながらも、生業とする仕事や家庭との両立は、過去も現在も未来も変らない課題のような気がします。鉄道模型を趣味とすることにより、Time, Money and Space の問題はずっと付きまとう、ということです。
話はまた離れてしまいますが、台湾人の金美齢さんが現在の日本人に対して残された言葉が、やはりインターネット上で簡単に入手できるようになっています。
本日現在、視聴者は累計約27万人。
また、「大雪でダイヤが乱れ、駅員や車掌に詰め寄る乗客の姿が見られた。」というような報道がごく普通に配信される中で、清涼剤のようなニュースがありました。立ち往生した特急で、窓越しに「除雪ありがとう」という文字。。(googleより)
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